「ねえ、ボクときどき思うことがあるんだ。
もしもこの世界が、どこまでも続く真っ青で
気持ち良い風の吹く空なんだとしたら
ボクらはそこに浮かぶ一片の白い雲なんじゃないかって」
子供はそう言って、お婆さんの膝の上でころころと笑いました。
「おやまあ、この子は」
お婆さんは冷んやりとした指先で、孫の頭をそっと撫でてやります。
陽だまりの縁側はぽかぽかとして暖かく
そこから見える景色は、何もかもが白く輝いて見えました。
「もしアタシが雲だったら、夕焼け空の茶色の雲かねえ。
昼間のお日様は、まぶしくてかなわないよ」
「そんなことないさ」
子供は空を見上げて言いました。
「雲にはいろんな形や大きさがあって
いっときも休まず変わっていくんだ。
うれしいときは高く軽くなるし、悲しいときは重たく暗くなる。
でもね、どんな色の雲だって、それは表情のひとつに過ぎないんだ」
「そうかもしれないね」
と、お婆さんもうなずきました。
「ときには雨を降らせたりもするけれど
顔を上げればいつも、お日様が上から笑いかけてくれるものね」
「そうさ」
子供はいきおいよく立ち上がり、お婆さんの方を振り返りました。
「僕たちは雲なんだ。だから、上を見上げればいつでもハッピーになれるよ!」