「ねえ、ボクときどき思うことがあるんだ。
 もしもこの世界が、どこまでも続く真っ青で
 気持ち良い風の吹く空なんだとしたら
 ボクらはそこに浮かぶ一片の白い雲なんじゃないかって」

 子供はそう言って、お婆さんの膝の上でころころと笑いました。

「おやまあ、この子は」

 お婆さんは冷んやりとした指先で、孫の頭をそっと撫でてやります。
 陽だまりの縁側はぽかぽかとして暖かく
 そこから見える景色は、何もかもが白く輝いて見えました。
 
「もしアタシが雲だったら、夕焼け空の茶色の雲かねえ。
 昼間のお日様は、まぶしくてかなわないよ」

「そんなことないさ」

 子供は空を見上げて言いました。

「雲にはいろんな形や大きさがあって
 いっときも休まず変わっていくんだ。
 うれしいときは高く軽くなるし、悲しいときは重たく暗くなる。
 でもね、どんな色の雲だって、それは表情のひとつに過ぎないんだ」

「そうかもしれないね」

 と、お婆さんもうなずきました。

「ときには雨を降らせたりもするけれど
 顔を上げればいつも、お日様が上から笑いかけてくれるものね」

「そうさ」

 子供はいきおいよく立ち上がり、お婆さんの方を振り返りました。

「僕たちは雲なんだ。だから、上を見上げればいつでもハッピーになれるよ!」
■BGM:風と雲と青空と

★作曲:MUGEN ★イラスト:JILLさん ★テキスト:
そういちろうさん