やっと子猫を捕まえて
ふと顔を上げたその先に
名前も知らないあの青い花
遠慮がち 秋風に揺れていた
もう一度貴方に逢いたくて
でも忘れていた あの青い花
もう決して戻ることの出来ない
けれども誰の心にもある
遠い日の優しい記憶
花に触れたら 戻れますか?
庭先から遠い青い花に
手を伸ばしたけれど 届かない
伸ばした手を下ろし
ふっとため息をつくと
腕の中では突然子猫が
心配そうににゃあと泣いた
そっと抱きしめた子猫は
あの日の母のぬくもりのようだった
青い花と子猫
遠い昔の秋の午後
優しい母の白い手に
甘えて育ったあの頃に
一瞬見かけた青い花
それは初めて見た色で
儚げで、でも優しくて
私は小さな手を伸ばし
その花に触れてみたかった
けれども母に手を引かれ
花はだんだん遠ざかる
冷たい秋風吹く午後に
子猫が部屋から抜け出した
私は子猫を追いかけて
草履をひっかけ飛び出した
子猫は生垣の外へ抜け
いつしか見知らぬ庭先へ